電人茶房

♪ざぼーが♪が適当な日常(ライブ観覧や映画鑑賞したこと)を語る、なんてことないブログ

伊福部昭 百年紀 コンサートシリーズ Vol.1

初代「ゴジラ」を昨年映画館で鑑賞したことや、子供のころに見た映画の記憶をきっかけにフルオーケストラで聴ける貴重な機会というのも相まって、聴きに行きたいと思いました。

正直、子供のころ観ていた「ゴジラ」は、かっこいい怪獣だと思っていたのですが、今になって初代「ゴジラ」を見直してみたら、そんなヒーロー像はかけらもなく、水爆実験をきっかけに出現したゴジラは人類にとっては恐怖の対象だったのです。そして、その映画の劇伴となった伊福部昭氏の音楽は、作品で拍車をかけるように心に重く響き渡ったのでした。

そんな気持ちを抱きつつ、会場となった「すみだトリフォニーホール」に向かっている途中、おそらく観客は年配の方が多いだろうと思っていましたが、会場前に来てみると意外と若い方も来ていました。実際、自分の前の席に子供の姿も見受けられましたが、さすがにこれは親御さんがファンで連れてきちゃったのかなあと思います。

劇場内では、パネルで伊福部氏の写真や作品のジャケット、スコア、またゴジラなどの怪獣映画のポスター写真などが展示されていました。

演奏されたのは以下の曲目。
映画で使用された主要音楽を組曲形式に再構成しての演奏でした。

演奏直前には「ゴジラ」の鳴き声が。曲を聴く姿勢が作れてよかったです。

曲の合間には、司会の伊福部昭研究家の井上誠さんが曲の解説をしてくださったので、伊福部氏の生い立ちや、演奏された曲が使われた作品のあらすじなどを踏まえて演奏を聴くことができました。
特に「銀嶺の果て」「国鉄」の楽曲については聴いたことがなかったので、より楽曲を楽しむための助けとなりました。

井上さんの解説の中で心に残ったのは「ゴジラ」の話。「戦後間もないころに作られた作品だけに、戦争経験をした人たちで作られたことは心に留めて聴いてください」とおっしゃっていました。たしかに、その時代背景なしにはこの映画は生まれてこなかったと思います。

途中、伊福部氏のレコードの構成を手掛けた(特撮だと「仮面ライダーZO」も手掛けたとか)西脇博光さんと、ゴジラシリーズなどで特技監督をされていた川北紘一さんが登壇されました。西脇さんは伊福部氏との交流話やレコードの構成を担当されるにいたった経緯などをお話しされていました。あと「伊福部先生はマーチです!」っておっしゃってたのも印象深かったですね。

そして、オーケストラ・トリプティークによる演奏も素晴らしかったです。
約100人の人数によるフルオーケストラだけあって、音の密度が濃いし、なにより演奏を間近で見られたことにより、重なっている音がふとした瞬間に分かれて聴こえるのです。これは視覚的にも楽しめた瞬間だと思いました。座席も思い切ってA席にしてよかったと思った瞬間でもあります。(S席は8000円越えなのでさすがにあきらめました)

最後の「ゴジラ VS キングギドラ組曲では、指揮者の齊藤一郎さんが指揮棒を自前のものではなく、「敬意を表して伊福部昭モデル(長いので振りにくいらしい)を使ってやります」とおっしゃったときは、なんだか興奮してしまいました。

実際、その流れで曲を聴いたときは、あまりの興奮に、かけていたメガネが曇ってしまったほどです。まあ花粉症対策にマスクをしていたので、息がかかりやすかったのはありますけど、それにしてもそれなりに空調のきいた室内で曇ったので、相当鼻息が荒くなったんでしょうね。